INTERVIEW|蕎麦あきしの 様
ワークスゼロにご依頼いただいた経緯は?
ここに店を構えてもう20年程になります。私もそろそろ七十近い歳になるし、ぼつぼつ店をどうするか考えないとなあと思っていたんだけど、三男が改装して継ぐって言い出してね。わざわざこんな古いところにしなくても、もっと違う場所に店を出したら?と言ったんだけど、やっぱり長年自分で作り込んで手入れしてきた建物や庭に思い入れもあって、継いでくれるなら嬉しいなと思って了承したんです。
ワークスゼロさんにお願いしようと決めたのは息子で、私も知り合いの「あかり」さんがワークスゼロで改装をしたなんていう話を聞いていたので、是非にということになりました。
お店を始めたきっかけは?
私は昔から、好きなことはとことんのめり込む性分で。中学生の時から盆栽が好きでいじっていました。我ながら渋すぎるガキだよね…盆栽仲間の爺さんがいっぱいいましたね(笑)。
この庭も結婚してから自分でこつこつ苗木を植えたりコケを貰ってきたりして作ったものだし、ある時は和食に凝ってみたり、茶道を始めて自分で茶室を作ってみたり、生け花、骨董…挙げ出したらキリがない。
実はこの店をやろうと思ったのも、ある有名な蕎麦屋さんのご主人と器の話で意気投合したことがきっかけ。不思議なものでちょうど「蕎麦屋面白そうだな、やろうかな」と思っていた時にとんとんとん、と話が進んで色んなことが動き出して、これは神様がやれって言っているんだなと思いましたね。それで、まだ蕎麦を打ったこともないのに、まず器を買っちゃった(笑)。
お店をやっていく中で大切にしていることは?
仕事でも生活でも、ぱっと「これだ!」って思いついたことがだいたい間違いないと思っていて、その「ひらめき」みたいなものを大事にしています。でも、私は本来、思考回路とかはすごく理系寄りで、理屈づくめの人間なんだよね。無意識に、「あ、待てよ、こっちの方が簡単にできるな」とか、「お金がかかる」だとか「身体が大変」だとかついつい考えて、違う道に行こうとしちゃう。だから、何かぱっとひらめいたことがあったら、色々理屈で考えず、なるべくすぐに行動するのが一番いいんです。
いつでも、ひらめいた方にぱっと行けるスタンスでいるということ。そうすると絶対間違いがない。今までのことを振り返ってみても、もちろんあんまり儲からなかったり、体力的に辛かったりすることもたくさんあったけれども、最後にはいい結果になっているなと思います。
今回の改装で気に入っているところを教えてください。
このカウンターの後ろについてる枝、うちの庭に生えていたヒメシャラなんです。私がたまたま花屋さんで苗木を見つけて買ってきて、庭に植えてから40年くらい経つかな。今回の改装で、軒に当たっちゃうっていうんで少し切ったんだけど、その辺に放ってあったこの枝を現場監督さんが拾ってきてくれてね、ここに付けようっていう話になりまして。なかなか気に入っています。
これで息子に店を任せたら、私はカウンターのこっち(客席)側でお客さんと喋りながら、のんびりお酒を楽しむ予定(笑)。楽しみですね。